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弁護士中島有紀が「自転車の取締り強化」についてのコラムを投稿しました

2022年11月28日

1 はじめに

フードデリバリーの自転車、シェアサイクルの自転車、通勤・通学の自転車、子供を乗せた三人乗り自転車など、街ではさまざまな自転車を見かけますね。

警視庁は、令和4年10月31日から、自転車に対する取り締まりを強化しました。みなさんご存知でしたか。

今回は、この自転車に対する取り締まり強化について少し解説をしたいと思います。
 

2 取り締まり強化の概要

警視庁は、令和4年10月31日から、多くの場合警告で済ませてきた「信号無視」、「一時不停止」、「右側通行」、「徐行せず歩道走行する」の4つの違反に関し、悪質なケースは「赤切符」を交付する対応を取る運用を始めました。
 

3 赤切符とは

警視庁の対応「赤切符の交付」とは、どういう意味を持つのでしょうか。

自動車を運転していて、何らかの違反をした場合に交付されている切符には、白切符、青切符、赤切符があります。

白切符は、反則金が定められていない点数のみの違反の場合に交付される最も軽微な交通違反に対する切符です。白切符が交付されるのはシートベルトの装着違反やチャイルドシート使用義務違反などです。

青切符は、正式には「交通反則告知書」と言い、赤切符よりも軽微な違反に対する切符で、多くの場合はこれに該当します。例えば、信号無視や駐停車違反など。青切符の場合、反則金を払えば、刑事訴追を免れることができます。

赤切符とは、道路交通法に違反する行為があった場合に、これを告知し、裁判所への出頭を促す書面で、正式には「道路交通法違反事件迅速処理のための共用書式」と言います。赤切符が交付された者に対しては、起訴・刑事処分が予定されています。赤切符が交付されるのは危険運転致死傷罪に該当する場合や、酒酔い運転、酒気帯び運転や、無免許運転などです。

このように、「赤切符」は、自動車運転の違反としては非常に重大なものに対して交付されるものなのです。

では、なぜ自転車の違反に赤切符を交付するのでしょうか。自転車の運転に運転免許が必要とされないため、点数の減点や反則金を払わせるといった対応ができないため、悪質な違反については、いきなり赤切符を交付することになるのです。
 

4 取り締まりが強化される4つの違反について
取り締まりが強化される4つの違反には全て罰則があります。

信号無視(道路交通法7条)…3月以下の懲役又は5万円以下の罰金

指定場所における一時不停止(道路交通法43条)…3月以下の懲役又は5万円以下の罰金

右側通行(道路交通法17条4項)…3月以下の懲役又は5万円以下の罰金

自転車の歩道走行時の歩行者妨害(道路交通法63条の4第2項)…2万円以下の罰金又は科料

赤切符を交付された場合、刑事訴追され、上記罰則が科される可能性があるのです。
 

5 最後に

自転車は、あまりにも身近な乗り物であることから歩行者と同視しがちですが、歩行者と衝突した時には加害者となり得る乗り物であることを十分理解する必要があります。なお、自転車利用中の対人賠償事故に備える保険等へ加入することが条例で義務づけられている都道府県や政令指定都市もありますので、この点も注意する必要があります。なお、東京都は令和2年4月1日から義務となっています。

赤切符を交付されるような危険な運転をすることなく、安全運転でサイクリングを楽しみましょう。
 

文責 中島有紀

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